たったこれだけ!傷病手当金の受け取り方~適応障害になったときのこと
今の仕事がつらすぎて休職したい。けれど、どうすればいいかわからない。そんな方向けの内容です。
精神的に追い込まれている人に向けて、傷病手当金の受け取り方について記事にまとめました。
筆者はプレッシャーと仕事量、相談できない環境から日常生活もままならない状況にまで追い込まれました。 思考能力も著しく低下していましたが、 「とにかく会社を休みたい!」の一心で 精神科を受診、傷病手当金を受け取って休職しました。
ちなみに、傷病手当金には2種類あります。
- 働いている人向けの傷病手当金(健康保険)
- 失業した人向けの傷病手当金(雇用保険)
今回は前者の受給手順と注意点についてお伝えします。
- 1開始前:条件を満たす
- 2休職中:通院と定期報告
- 3復職前または退職前:復職または自然退職
- 4注意点
開始前:条件を満たす
傷病手当金を受給するための条件は3つあります。
- (休養が)療養のためであること
- 働けないこと
- 連続3日休んでいること(休日を含む)
これらを確実に効率よく満たす流れはこちらです。
これらのアクションを順に追っていきましょう。
診断書をもらう
何も考える気力がないかもしれませんが、第一歩として
「精神科または心療内科で診断書」をもらいましょう。傷病手当金を受給するための条件のうち
- (休養が)療養のためであること
- 働けないこと
この2つの証明として医師に診断書でお墨付きをもらいます。
これにより- 会社にとって、「休職」と「傷病手当金の申請」の手続きが進めやすくなる
- 自分にとって、傷病手当金が支給がより確実になる
というメリットがあります。
反対に診断書をもらわなかった場合については、最後の注意点のようなことが起こり得ますのでご注意ください。厳密には「診断書」は法律上必須ではありませんが、手続きを確実に行えるようにするために発行してもらうことを推奨します。 Q. 精神科の予約がいっぱいでとれない!どうすればいい?ここで精神科に予約確認の電話をかけると思いますが、精神科は人気のところほど予約が取りづらく、早くて3カ月後になることも。特に、子供の発達障害を対象としている精神科は予約が取りにくい印象でした。これらの条件の精神科に行きましょう。
- 距離的に通えそう
- 予約がいらない
診断書をもらうことが目的ですから、病院の評判はあまり重視する必要はありません。
実際、筆者も上記の精神科の条件で探し、しっかり診断書を書いてもらって、通院していました。病院で「自分はこんなに苦しい」「こんな体調不良も出ている」「働ける状態ではないから仕事を休みたい」「そのために診断書を書いてほしい」と伝えれば、医師も診断書をそのように書いてくれます。話す内容は紙に書くなど事前に準備しておくと、頭が働かなくても対応できます。理想はあなたの状況をよく知っている人に付き添いで受診してもらうことです。診断書をもらったら、次のステップです。
上司に連絡
会社側での手続きをスムーズにするため、なるべく早めに上司に連絡しましょう。
「自分は働けないから休職させてほしい。診断書ももらっている。」という希望を対面、電話またはメールで伝えます。急ぎの場合は次のステップと同時進行でも問題ありません。
筆者は上司連絡から休職まで「約1週間」かかりました。仕事を休む
傷病手当金の受給に必要な条件3つ目
- 連続3日休んでいること(休日を含む)
を満たすため、次は会社を休みましょう。
有給・欠勤どちらでも問題ありません。
月の途中で休職になれば、結局は休職に入った日から月末までは欠勤扱いです。また、診断書がある状況で「3日休む」ことにより懲戒処分することは会社にとっても難しいでしょう。理想は上司と相談して「いつから休職するか」決め、その日の前3日間休むよう調整することです。それまでは残りの気力で乗り越えます。
その他の手続き
あとは会社からの求めに応じて、休職願や診断書などの郵送の対応をすればOKです。
筆者の場合はWEB面談で説明が行われ、必要書類を郵送して休職に入りました。
休職中:通院と定期報告
休職期間中は基本的に仕事のことは一切忘れて何もしなくて良いです。
ただし、通院と定期報告は必要になります。通院
毎月通院し、診断書をもらいます。
通院は「傷病手当金の申請」のため、診断書は「休職の必要性の証明」のために必要です。「現状の体調」「働ける状態でないためまだ休養が必要」を担当医に伝え、診断書を書いてもらいます。ひと月でも空白ができた場合、最後の注意のようなことが起こります。定期報告
引き続き休職するため、会社に対して定期報告をします。
診断書をもらったら、月に1度会社へ診断書を郵送をしましょう。筆者の場合はあわせてメールで事務担当に働けない旨を連絡していました。傷病手当金の申請
健康保険の保険者(保険証の左上に記載)が組合か協会かによって異なりますが、規定に従って申請用紙を提出し、傷病手当金をもらうことができます。
筆者の場合は3カ月単位に申請でしたので、- 会社に傷病手当金の申請用紙をもらう
- 自分で必要なところを書く
- 医師に必要なところを書いてもらう(通院のタイミングで)
- 会社に郵送
- 会社に必要なところを書いてもらう
- 会社から保険者に郵送
の流れで支給を受けました。
復職前または退職前:復職または自然退職
ここからはご自身のライフプランに合わせての選択となります。
- 復職して今の企業に戻る
- 自然退職を狙う
まずは会社の規定を確認
どちらの選択にしても、社内規定で「休職できる期間」を確認します。
「休職して2か月経過後自然退職とする」という記載の場合は、2か月以内に復職しなければ退職となります。筆者の場合は家庭の事情もあり、復職しました。復職して今の企業に戻る
体調が回復し、職場に戻れそうな場合、復職を検討します。
しかし、精神的な不調が原因の場合、元の環境に戻ることは再発を招くリスクがあります。できれば復職までに- 職場内の異動
- 職務の変更
について会社に相談しましょう。
復職の流れはこちらです。
場合によっては「復職プログラム」という復職前のお試し出勤制度がある会社もあります。復職前に一度確認してみましょう。
Q. また体調が悪くなって休職したら、傷病手当金はもらえるの?
休職期間が1年6カ月未満でしたら、傷病手当金がもらえます。
休職までの流れは基本的に同じですが、同じ理由で休職する場合、傷病手当金は「休職したその日」から支給対象になります。自然退職を狙う
会社の規定に従って休職期間すべて使い切ってしまうパターンです。
- 体調が一向に戻らない
- 今の会社にどうしても戻りたくない
ような場合に良いでしょう。ただし、再就職の際に退職理由からハンデになる可能性があります。
こちらは休職期間によって手続きが変わってきます。
結論、休職期間が1年6カ月未満の場合は引き続き傷病手当金がもらえます。
1年6カ月以上の場合は、条件を満たせば「雇用保険の」傷病手当金がもらえますが、当記事では割愛します。注意点
通院は月に1回は行く
筆者の健康保険は「健康保険組合」のもので、規約に「月に1回は通院し、治癒に努めること」のような記載があったそうです。
都合が合わなかったために通わなかった月について、後ほど封筒が届き、弁明が必要となりました。場合によっては受給できなくなる可能性もあったため、月に1度は通院した方がよいでしょう。診断書を発行してもらわない場合は、ご自身で働けない客観的な証明を用意する必要があります。社会保険等の支払いは必要
休職中も会社には在籍していることになります。
そのため、健康保険料と厚生年金の支払いは必要になります。また、前年の収入に基づいて給与天引きされる住民税、会社の規定によっては会社独自の費用(親睦会費など)も休職期間中に会社へ振り込みをすることになります。これにより、傷病手当金の支給額は額面給与の3分の2ですが、新卒の場合社会保険料等を差し引いて給与の約半分ほどになります。ある程度の貯金は必要
傷病手当金がもらえるのは休職のある一定期間過ぎてからです。1か月ごとの場合は良いですが、3カ月ごとや休職期間が満了してからしかもらえない規定の場合は、その間貯金で過ごし、さらには社会保険料等の支払いも貯金から崩すことになります。
診断書の発行にもお金がかかります。労災は認定が厳しい
業務が原因で精神疾患になった場合、労災の認定も考えられます。
精神系疾患で労災認定をもらうためには会社が非があると認めて、客観的にその仕事が原因で精神疾患になったことが証明できていないといけないため、認定をもらうのは厳しいでしょう。明らかに残業が160時間など長時間で精神的負荷が高い場合などは労災の申請をして、「傷病手当金」(給与の3分の2)でなく「休業手当」(給与の6割+特別支給金)をもらうと良いでしょう。